ちょっとしたヒント
- 階段をさっと早足で上る、ひと吹きから。
- それぞれのスナックを、すでにある習慣にひっかけて。
- ほとんどの日に、短いひと吹きを三回を目安に。
運動についての助言はたいてい、自由なまとまった時間があり、着替える場所があり、出かける元気がある前提で語られます。けれど、ふつうの一日には、そのどれもないことが多いもの。だから運動はけっきょく起きず、そのあと、起きなかった運動について自分を責めることになるのです。
もうひとつの入り口があります。「エクササイズ・スナック」と呼ばれるもので、その名前がすべてを表しています。動きを一回の大きな食事にするのではなく、一日のあいだに少しずつ口に運ぶのです。階段を元気に1分。コーヒーが落ちるあいだにスクワット10回。また座る前にジャンピングジャックをひとしきり。どれも短く、ときには1分もかかりません。それを、すきまに合うときに、いくつかこなすだけ。
意外なのは、これがちゃんとカウントされること。本当にカウントされるのです。
小さなひと吹きが効くわけ
長いあいだ、運動は続けてやらなければ意味がないと思われてきました。けれど新しい研究は、そうではないと言います。ふだん座りがちな大人が、こうした少し息が上がる短いひと吹きを一日に数回おこなうと、心肺機能が意味のあるかたちで向上するのです。運動していない大人を対象とした試験の系統的レビューのひとつは、5分以下のひと吹きを一日に数回おこなう「エクササイズ・スナッキング」が、中等度の確からしさで体力を高めたと見いだしました。
あなたの体は、続けた努力だけにごほうびをくれるストップウォッチを持っているわけではありません。体が応えるのは、その「量」に対してです。一日に散らばった小さな量がいくつもあれば、それでも心臓と肺はいつもより少し強く働くことになり、その「働き」こそが変化を生むのです。
ちなみに、公式のガイドラインも同じ意見です。CDCははっきりと、週の運動を「もっと小さな時間のかたまりに」分けてよいこと、そして「いくらかの運動は、まったくないよりよい」ことを述べています。一度に全部やる決まりなど、もともとなかったのです。ただ私たちの多くが、そう思い込んでいただけ。
何が「ひとつ」に数えられるのか
エクササイズ・スナックとは、息が上がったり筋肉が働いたりする、どんな短いひと吹きでもかまいません。手軽なものをいくつか。
- 階段を一、二階分、それなりの速さで上る
- スクワットを10〜15回、ふらつくなら台につかまって
- 壁や台に向かっての腕立て伏せを一セット
- その場で足踏み、またはジャンピングジャックを30〜60秒
- ポストまで、目的をもって早足で往復
- 歯を磨きながらかかと上げ
特別な道具も、ウォームアップの儀式も要りません。ハードルはわざと低くしてあります。ある日にこのうち三つできたら、それはよい一日です。
本物の一日に組み込む方法
コツは、すでにやっていることに動きをひっかけること。新しい習慣を覚えるというより、古い習慣にボルトで留めるイメージです。
- 「きっかけ」を選ぶ。やかん、トイレ、会議の終わり、車を降りた瞬間。
- それにスナックをひとつくっつける。「やかんが沸くあいだ、スクワットをする」。ルールはそれだけ。
- 短く、少し元気よく。息が上がるくらいで十分。へとへとになる必要はありません。
- 積み重ねていく。1〜2分のスナックを三つ、ほとんどの日に。それで立派なスタートです。
研究では、人々はこれを驚くほどよく続けました。あるレビューでの継続率は約91パーセント。たいていの組み立てられたジムのプログラムが見るより、はるかに高い数字です。短くてできることは、長くて気が重いことに、ほとんどいつでも勝ちます。
始める前に、やさしいひとこと
このひと吹きは、短く少し激しいものなので、少し判断を働かせてください。心臓に持病がある、妊娠している、長く運動していない、けがを抱えているなら、強度を足す前にお医者さんへさっと確認する価値があります。胸の痛み、めまい、関節の鋭い痛みが出るものはやめて、今日の自分の体に合わせて力を加減しましょう。スクワットは椅子に向かって、腕立ては床ではなく壁に向かって、跳ぶ代わりに早足で歩いてもいい。そのどれも、価値を下げたりはしません。
エクササイズ・スナックは、すべての代わりにはなりません。本物の筋力をつけたい、何かに向けて鍛えたいなら、いずれもっと長く、組み立てられたセッションも必要になるでしょう。けれど、オール・オア・ナッシングのわなを抜け出し、ふつうの一日に動きを取り戻す方法としては、なかなか手ごわい相手です。いちばんよい運動は、やっぱりあなたが実際にやる運動。そしてそれは、とても小さなものでもよいのです。
出典
- Cleveland Clinic, What Are Exercise Snacks?
- BMJ Group, Exercise snacks may boost cardiorespiratory fitness of physically inactive adults
- Centers for Disease Control and Prevention, Adult Activity: An Overview