ちょっとしたヒント
- シンプルなりんごで満足できるか自分に聞く。だめなら、たぶん「食べたい欲」。
- 動く前に5分待つ。本当の空腹は残り、欲はよく消える。
- 規則正しく満足できる食事をして、飢えきって食卓に来ないように。
1時間のうちに3度目の冷蔵庫を開けます。前に見たときから中身は何も変わっていませんし、自分が本当におなかが空いているのかすらよくわかりません。ただ「何か」が欲しいのです。心当たりがあっても、あなたが欲張りだとか、どこか壊れているわけではありません。あなたは、空腹と「食べたい欲」という、日々の綱引きを経験しているだけ。この二つは似た感じがしますが、まったく別の場所からやってくる信号です。
この二つを見分けるのに、鉄の意志はいりません。たいていは、ほんの少しの「間(ま)」と、いくつかの正直な問いがあれば足ります。
二つの別々の信号
身体的な空腹は、体が燃料を求めているサインです。最後に食べてからの時間に合わせて、ゆっくりと積み上がっていく傾向があり、体に現れます。胃のうつろな感じ、エネルギーの低下、もしかすると少しのイライラが忍び寄ってくる、など。大切なのは、本当の空腹は「えり好みしない」ということ。本当におなかが空いているときは、果物ひとつでも、残りものを一皿でも、ちゃんとおいしそうに感じます。だいたいどんな食べものでも役目を果たしてくれるのです。
「食べたい欲」は、ふるまいが違います。突然、しばしばどこからともなくやってきて、しかも気むずかしい。食べもの全般が欲しいのではありません。「あれ」が欲しいのです。チョコ、ポテトチップス、あの特定のもの。気のきいた代わりのものでは、おさまりません。「食べたい欲」は、胃よりもむしろ脳の報酬と感情の中枢からやってくる傾向があり、だからこそ、空っぽのタンクではなく「気持ち」と結びついていることがとても多いのです。
その下にある気持ち
ほとんどの「食べたい欲」は、食べものの衣をまとった気持ちです。クリーブランド・クリニックによれば、いちばんよくある感情のきっかけは、悲しみやストレスですらなく、「退屈」だといいます。ストレス、心配ごと、疲れ、エネルギーの低下も、おなじみの容疑者です。不安なときにチョコに手を伸ばしたり、落ち込んだときに「ほっとする食べもの」に手が伸びたりします。そして、その食べものは、あなたが本当に必要としているもの――ひと休み、少しの休息、ちょっとした安らぎ――の代わりを、半分つとめているのです。
それは人格の欠点ではありません。心を慰めるために食べるのは、人間らしいこと。「今日はいろいろあったから、クッキーひとつくらいね」というのは、別に解決すべき問題ではありません。困りごとが始まるのは、食べものでは本当には満たせない気持ちに対して、食べることが手に取る唯一の道具になってしまったときだけです。
さっとできる、自分への確認
次に「食べたい」という衝動が顔を出したら、行動に移す前に、少しスピードをゆるめてみましょう。クリーブランド・クリニックは、1分もかからない、いくつかの工夫を勧めています。
- その衝動に質問してみる。 いったん止まって、率直に自分に問いかけます。私は空腹なのか、それとも別の何かなのか、と。「何が欲しい?」という問いを「何が必要?」に切りかえると、本当の答えが浮かび上がってくることがよくあります。
- 「りんごテスト」をやってみる。 シンプルでヘルシーな食べものでも満足できるかどうか、自分に聞いてみます。「うん」なら、たぶん空腹です。特定の一つしか受けつけないなら、たぶん「食べたい欲」です。
- 5分待ってみる。 その衝動をいったん脇に置いて、数分のあいだ別のことをしてみます。短い散歩、コップ一杯の水、ちょっとした用事など。本当の空腹は、そのまま居座ります。気持ちからくる空腹は、その下にある感情が動いてしまえば、おさまることがよくあります。
- 自分のパターンに気づく。 いつも午後4時が自分のぐらつく時間だとわかれば、不意打ちを食らうかわりに、計画的なおやつや、あらかじめ組み込んだ休憩で、先回りできます。
目的は、自分に「食べるな」と言い聞かせることではありません。ときには答えが「うん、空腹だね、食べよう」のこともあります。目的は、ただ、自分がどちらの信号に応えようとしているのかを知ることです。
ざわめきを静める食べ方
まぼろしの空腹の多くは、上の空で食べることから生まれます。画面の前で、立ったまま、ろくに味わいもせずに。気が散ったまま食べると、体の満腹のサインも、その下にある感情のきっかけも、どちらも見落としてしまいます。食卓でスピードをゆるめ、食べものをちゃんと感じることで、その両方が読み取りやすくなります。
食事のときに飢えきった状態で来ないことも助けになります。ペコペコになるまで放っておくと、脳の考える部分のスイッチが切れて、何でもつかむ部分のスイッチが入りがちです。そうなると、「食べたい欲」が毎回勝ってしまいます。タンパク質と食物繊維を十分にとった、規則正しくて満足できる食事をしていれば、本当の空腹が忍び寄ってきて、別のものと取りちがえられることもなくなります。
もっとサポートが必要なとき
ほとんどの人にとって、これはありふれたことで、少しの気づきが大きく効いてきます。でも、もし食べることがあなたの主な対処法になってしまっているなら、食べものを前にすると自分を抑えられないと感じるなら、あるいは食べることや自分の体についての考えが一日の中で大きな場所を占めているなら、それは真剣に受け止めるに値するサインです。お医者さん、管理栄養士、セラピストが力になってくれますし、手を伸ばすことは大げさな反応ではありません。一人で抱えるには本来よりつらい何かに対する、まっとうな反応です。
でもたいていは、これは、もう少し自分に好奇心を向け、もう少し自分にきびしくしないでいる、という話です。冷蔵庫は5分後にもそこにあります。たいていは、自分が本当は何を探していたのかに気づくのに、それだけの時間があれば十分なのです。
出典
- Cleveland Clinic, Decoding Your Hunger: Are You Really Hungry or Not?
- Harvard Health Publishing, Exercising to Relax