ちょっとしたヒント
- 今まさに下そうとしている決断について、十五分だけもらおう。
- 戻ってきて、アドバイスをどう使ったか報告しよう。
- 会うたびに、役に立つ何かを持っていこう。
自分より経験豊富な人が、これまでに二度、あなたに親切にしてくれた。ある会議で率直な答えをくれたし、そうする義理もないのにあなたの質問を真剣に受け止めてくれた。そしてこの一週間、あなたはその人へのメッセージを書いては消している。どの下書きも消してしまうのは、どれもとてつもなく大きなことを求めているように聞こえるからだ。
求めているように聞こえるのは、実際にそうだからだ。「メンター」という言葉には、永遠に無償で働くこと、ほとんど知らない相手への終わりのない約束という意味が含まれていて、忙しい人はそれを解約できないサブスクリプションのように受け取る。メッセージが書き上がらないのは、あなたが求めているものそのものが間違っているからだ。
その代わりに、小さくて具体的で、終わりのはっきりしたことを頼もう。今まさに下そうとしている決断について、十五分だけもらうのだ。そして、その答えをどう使ったかを後から報告しに戻る。そんな会話が三回重なれば、それだけでメンター関係は自然と生まれる。「メンター」という言葉は、一度も口にする必要がない。
メンターになってほしいとはどう頼めばいい?
頼まない方がいい。代わりに、一つの本物の決断について十五分だけもらえないか頼み、メッセージの中でその決断が何かを具体的に伝え、いつまでに決めなければならないかも書く。
「メンターになってください」という頼みごとは、範囲も定義もなく、どれくらいの負担になるか見当もつかない。だから相手にとって安全な答えは、やんわりとかわすことになる。一方、「プラットフォームの職に移るか、決済のチームに残るか」について十五分だけ、という頼みごとは範囲がはっきりしていて、光栄に感じてもらえ、イエスと言いやすい。それに、相手が一番知りたいこと、つまり自分の時間が本物の役に立つのだということを、そのまま伝えることにもなる。
人は、あなたが思っているよりずっと高い確率でイエスと言ってくれる。FlynnとLakeによる研究(Greater Good Science Center, Berkeleyがまとめたもの)によれば、人は直接助けを求めたときにイエスがもらえる可能性を、最大で五十パーセントも過小評価しているという。理由は、双方が見ているものが違うからだ。あなたは自分がかけている負担のほうを見ている。相手は、率直に、そして丁寧に頼んできた相手を断ることのばつの悪さのほうを見ている。
つまり、送信箱に眠っている下書きが想定しているよりも、勝算はずっと高い。そして頼みごとが小さく具体的であるほど、その勝算はさらに上がっていく。
メッセージには具体的に何を書けばいい?
四つの文だけで十分だ。具体的な決断の内容、なぜこの人に頼むのか、期限つきで十五分をお願いすること、そして断りやすい逃げ道の四つ。
たとえば、こんな内容でいい。専門職コースとマネジメントコースのどちらに進むか迷っていて、月末までに答えを出さなければなりません。〇〇さんはどちらも経験されていて、全社会議でそのトレードオフについて話されていた内容がずっと心に残っています。今後二週間のうちに十五分いただいて、三つ質問させていただけないでしょうか。タイミングが悪ければ全く問題ありませんし、それ以上お願いすることもありません。
違いを生むのは三つの点だ。実際の決断を具体的に名指しすること。本物の悩みは興味を引くが、漠然としたキャリア相談は面倒事にしか見えない。なぜこの人に頼むのかを具体的に伝えること。四十人の誰にでも送れそうなメッセージは、まさに四十人に送ったように見えてしまう。そして逃げ道を用意すること。断りやすいからこそ、イエスと答えるハードルが下がる。
そして準備を整えて臨む。三つの質問を書き出し、時間通りに現れ、二分早く切り上げる。早めに終えることは小さなことだが、人の記憶に残る。そしてそれこそが、もう一度十五分をあげたいと思ってもらえる、一番手軽な方法なのだ。
もし断られたら、あるいは返事が来なかったら?
原因はあなたではなく、相手のスケジュールだったと考えて、きれいに手放そう。三か月は何も送らず、その後に一行だけ、自分が何を決め、それがどうなったかを伝える。そこに頼みごとは一切添えない。
返事が来ない理由のほとんどは、忙しい一週間で受信箱があふれているだけだ。何も求めず、ただ結果だけを静かに報告するフォローアップは、珍しいからこそ読まれる。そしてそれによってあなたは、何かを求める人から、何かを実際にやり遂げる人へと立場が変わる。驚くほど多くの関係が、その二通目のメッセージから始まっている。
本当に断られた場合は、そのまま素直に受け止め、一度だけ感謝を伝える。交渉したり、考え直してほしい理由を説明したりしてはいけない。あなたが築いているのは二十年先まで続く評判であり、断りを潔く受け止める人のほうが、面会を取り付けた人よりも良い印象で記憶に残る。
そして裾野を広げよう。最終的に良いアドバイスを得ている人たちは、一人のメンターを持っているのではなく、それぞれに一つずつ質問できる六人の相手を持っている。あなたより二年先を行く人は、二十年先を行く人より役に立つことが多い。なぜなら細部をまだ覚えていて、その答えが今も通用するからだ。
二度目の会話を得るにはどうすればいい?
戻ってきて、そのアドバイスをどう使ったかを報告しよう。この一つの行動こそが、一度きりの面会を関係へと変えるものであり、それをする人はほとんどいない。
二、三週間ほど間を置いてから、四行だけ送ろう。あなたはこう言ってくれました。私はこうしました。結果はこうなりました。ありがとうございました。もしアドバイス通りにしなかったなら、それも正直に伝え、理由も添える。なぜなら、答えについて自分の頭で考えた人のほうが、ただ言われた通りにする人よりも、アドバイスのしがいがあるからだ。
報告することは、単なる礼儀ではない。相手の十五分が何かに実を結んだという、唯一の証拠なのだ。そしてそれこそが、最初の面会が大変だったのに、二度目は簡単になる理由でもある。アドバイスをする人は、目に見えて人生が動いていく相手に、これからもアドバイスをし続けたいと思うものだ。
そして次は何かを持っていこう。あなたは経験豊富ではないが、手ぶらでもない。この仕事の今の世代がどんなものかを知っているし、どのツールが実際に使えるかも知っている。相手には見えていない会社の一面が見えているし、相手自身の分野の記事で、相手が見逃していたものを送ってあげることもできる。長く続く関係は、双方向に流れる関係だ。あなたの関係がそうなるのが早ければ早いほど、それが施しのように感じられなくなるのも早くなる。
自分が下の立場のとき、何を差し出せる?
自分が求めているものを、そのまま差し出そう。あなたの立場がどうであれ、今この瞬間、誰かにとってはあなたのほうが経験豊富な側なのだ。自分がもらいたいと望んでいる十五分は、今月あなたが誰かに渡せる十五分でもある。
自分なら消してしまうようなメッセージにも、答えてあげよう。二年後輩にあたる人をコーヒーに誘い、三つの質問をさせてあげる。そしてもう一歩踏み込んで、その人がいない場で、その人の名前を挙げよう。これこそがキャリアを実際に動かすやり方であり、ほとんど誰もそのやり方を教わっていない。このライブラリには、ちょうどこの動きについて書いた関連記事「Becoming the Obvious Choice」がある。人と話すだけでなく、人の代わりに話すことについての記事だ。
正直な理由は二つあり、どちらも因果応報の話ではない。テーブルの反対側に座ってみることは、どんな頼みごとがイエスと言いやすいのかを学ぶ、一番早い方法であり、それはすぐに自分自身の頼みごとの質も上げてくれる。そして最終的に三人の有力な支持者を得る人は、たいてい自分自身が先に誰かの支持者になっている。同じ部屋、同じ習慣、同じ種類の会話が、双方向に流れているだけなのだ。
良いメンタリングは、本来あるべき頻度よりもずっと稀だ。大学卒業生を対象としたGallupの長期にわたる調査では、自分を気にかけ、学ぶ意欲を高め、夢を追いかけるよう励ましてくれた教授がいたと強く同意した人は、わずか十四パーセントしかいなかった。そのギャップは、やる気のない人たちによって生まれているのではない。誰からも、イエスと言えるくらい小さな形で尋ねられたことがなかった、という一つの問いによって生まれているのだ。
長い目で見れば、それは築こうとしたわけでもないネットワークになる
十年後には、電話をかけられる人がひと握りできているはずだが、そのうちの誰も、あなたが勧誘した人ではない。良い質問を一つ投げかけ、いったん離れ、実際にやってみて、また戻って報告した相手たちだ。そして、そのうちの何人かは、あなたが先にそれをしてあげた相手でもある。
これは正式なメンタリング制度よりも時間のかかる仕組みだが、はるかに信頼できる。なぜなら、この仕組みはマッチングにも、申込書にも、組織再編で打ち切られるような制度にも依存していないからだ。十五分ずつ動いていく仕組みであり、その十五分は、今週すでにあなたの手の中にある。
だから、消し続けているそのメッセージを送ろう。決断を具体的に伝え、十五分をお願いし、断りやすくしておく。そして送信ボタンを押す前に、報告しに戻る日をカレンダーに書き込んでおく。それから、二通目のメッセージも送ろう。今度はあなたが十五分を差し出す側になる番だ。この二つは同じスキルであり、与える側の練習を早くから積んでおくほど、あなた自身のキャリアは良くなっていく。
出典
- Greater Good in Action, University of California, Berkeley, 職場で助けを求める
- Gallup, 大学時代の経験は、卒業後の人生に影響する
- Harvard Business Review, なぜ男性は今も女性より昇進しやすいのか
- Catalyst, スポンサーシップの視点でマネジメントする: なぜメンタリングだけでは足りないのか