ちょっとしたヒント
- 入るのは三人組。二人組には入らない。
- 肩書きではなく、質問から始める。
- また話したいと思える会話が二つできたらやめる。
あなたはレセプションの入り口をくぐったばかりで、本当は欲しくもなかった飲み物を手に持っている。部屋のどのグループも、なんだか閉じているように見える。あなたはちゃんと理由があって来た。ここには知り合う価値のある人が二、三人いて、その人たちにたどり着ければ、今夜は元が取れる。
まずはいい知らせから。これは度胸やカリスマの話ではなく、算数の話だ。あの部屋にいる誰も、あなたが張り合わなければいけないような人格を演じているわけではない。人が輪になって立っているのは、人が作るものが輪だからで、どの輪も一分に一度くらいは隙間が開く。結局のところ大事なのは、どの輪に向かって歩くか、そこに着いて何を言うか、そしていつ自分に「もう帰っていい」と許すかだけだ。
これは、こういう場が苦手な人にも効くやり方だ。得意な人にも同じように効く。
どのグループに声をかければいい?
三人組だ。三人組には自然な隙間と、自然な立ち位置がある。二人組にはそれがないし、六人組はすでに独自の会話が成立していて、そこに加わるというより割り込むことになる。
二人組はたいてい何かの話題、それもプライベートな話題で会話していることが多く、その肩越しに近づくと、あなたは場所を勝ち取らなければならない三人目になってしまう。三人組はすでに輪になっているので、もともと四人目を受け入れられる形をしていて、しかもほぼ必ず一人は話を半分くらいの気持ちで聞いていて、新しい顔を歓迎してくれる。
端まで歩いていく。真ん中に入っていくのではない。開いている側に、ふつうの距離で立ち、今続いている一文が終わるのを待つ。その間は何も言わない。文が終わると、たいていのグループは体ごと向きを変えて場所を空けてくれる。人はそういうものだからで、その向き直りがあなたへの合図だ。十五秒ほど待っても来なければ、微笑んでその場を離れればいい。何も起きていない。誰も採点していない。
最初に何を言えばいい?
自己紹介する代わりに、何か質問する。「今日はどうしてこちらに?」はほぼどんな部屋でも通用する。名前や肩書きを値踏みさせるより、答えやすい質問を渡すほうがずっといい。
自己紹介は自分を評価の前に差し出すことになる。質問は自分を会話の内側に置くことになる。それに、こちらの問題、つまり「この人たちが何を大事にしているかまだわからない」という問題も解決してくれる。答えを聞けば十秒ほどでわかる。
どこでも使える質問をもう二、三個。
- 「今日はどうしてこちらに?」
- 「皆さんはどうやって知り合ったんですか?」
- 「何か話の途中でしたよね。何の話でした?」
そのあとはちゃんと耳を傾けて、相手の答えについて二つ目の質問をする。会話が本当に始まるのは、この二つ目の質問からだ。それを聞く人はほとんどいないので、それだけで「ただしゃべった人」として記憶されるか、「関心を持ってくれた人」として記憶されるかが決まる。
どのくらい滞在すればいい?
月曜日になっても本当に続けたいと思える会話を二つ持てるまで、というのが目安だ。それが済んだら帰る。四十分で済もうと、三時間かかろうと構わない。
目標を持つこと自体が大事なのだ。目標がないと、その夜はただぐるぐる歩き回るだけになる。それがこの手の集まりを、疲れる割に成果がないものにしてしまう。三時間かけて部屋中を見回っても、手に入るのは名刺の束と、月曜日には何もない状態だ。本物の会話を二つ持てば、本当に送りたいと思えるメールが二通手に入る。
これは正しく受け止めてほしい。手を抜いていいという許可ではない。すり減らすだけの夜を、実りのある夜に変えるということであり、努力と成果の違いそのものだ。それは他のどんな仕事についても、あなたが当然するはずの区別と同じだ。会場に入る前に数を決め、それを達成したら、まだ人のことを好きでいられるうちに家に帰る。
何をもって「二つのうちの一つ」とするかは、事前に決めておく価値がある。その場にいると、誰もが自分に甘く採点してしまうからだ。会話が「一つ」に数えられるのは、その人が今取り組んでいる具体的なことを知っていて、連絡する本当の理由があるときだ。「気が合った」では足りない。理由になるのは、送ると約束したリンク、申し出た紹介、その場で答えられなかった質問といったものだ。まだそこに立っているうちにその理由を口にできないなら、その会話は心地よかっただけで、二つのうちの一つではない。次に進もう。
もし後で誰にも覚えてもらえなかったら?
あなたが思うよりも、人はちゃんと覚えている。Erica Boothbyたちの研究によると、新しい人との会話のあと、参加者は相手にどれだけ好かれ、相手がその会話をどれだけ楽しんでいたかを、いつも決まって過小評価していた。研究者たちはこの現象を好意のギャップと名づけた。
同じ思い違いは、会話が始まる前からすでに起きている。Nicholas EpleyとJuliana Schroederは一連の実験を行い、電車やバスの通勤客に、見知らぬ人と話す、静かに一人で座る、いつも通りに過ごす、のいずれかを割り当てた。話した人たちは、一人で座っていた人たちより移動時間を前向きに感じたと答えた。別の通勤客のグループに、同じ移動がどうなるかを予測してもらうと、まったく逆を予想し、一人で過ごすほうを選んだ。この予測はほぼ毎回、同じ方向にはずれる。
だから、部屋に入るときに持っておくべき前提は、「人の心をつかまなければ」ではない。会話は自分の実感よりもうまくいっている、というものだ。あなたの仕事は、それをあとで連絡する価値があると思えるくらい長く続けることだけでいい。
終わった会話からどう抜ければいい?
何を得たかを伝え、次のステップを名指しして、それから離れる。「今夜いちばん実りのある会話でした。明日あのリンクを送りますね、メールしてもいいですか?」
別れ方が下手だと、最初に出会った人と一時間も足止めされることになる。それこそが、会話二つという目標がうまくいかなくなる本当の理由だ。具体的な次のステップで締めくくる去り方は、失礼ではない。それこそが会話を人脈に変えるものであり、その部屋が人と出会うための場だということは、お互いによくわかっている。
次のステップがないなら、温かく正直に締めくくればいい。「来てよかったです。終わる前にもう何人かに挨拶してきますね。」この一言で気を悪くした人など、これまで一人もいない。
見知らぬ人でなくなるいちばん早い方法
二人を互いに紹介する。到着から二十分もあればできることで、必要なのは二つの名前と一つの具体的な共通点だけだ。しかも、常連よりも新参者のほうがうまくいく。
新参者が有利な理由はこうだ。あなたはたった今、二人それぞれに何に取り組んでいるかを尋ねたばかりで、部屋の他の誰もそれをしていない。だから両方の答えを知っているのはあなただけだ。紹介に必要なのはそれだけでいい。「お二人、話してみるといいですよ。Benが作り直したのと同じ請求システムを、これからPriyaが手がけるところなんです。」
やり方は機械的でいい。二つの名前、一つの具体的な共通点、それから半歩下がって、あとは二人に任せる。二人がどれだけすごいかという前置きはいらない。それをやると、たいてい全員が気まずくなる。共通点そのものが、内容のすべてだ。
あとの人脈の算段も変わる。しかも、あなたに有利な形で変わる。あなたが紹介した相手は、名刺を渡した相手よりもずっと長く、何年もあなたのことを覚えている。しかもネットワーキングとしてではなく、役に立つ人として覚えてくれる。Gillian SandstromとElizabeth Dunnの研究によれば、ネットワークの端にいる人たちとのちょっとしたやり取りでさえ、より良い一日や、より強い所属感と結びついていた。これは、一つの紹介が同時に二人の人に渡しているものを、かなり正確に言い表している。
三人組であること。肩書きではなく質問であること。会話は二つで、あとは家に帰ること。そしてその途中のどこかで、二つの名前と一つの共通点を、声に出して伝えること。頼まれてもいない人たちのために。
出典
- University of Essex Research Repository, 会話における好意のギャップ: 私たちは自分が思うより好かれている?
- Journal of Experimental Psychology: General, 間違って孤独を選んでしまう
- University of Essex Research Repository, 社会的なつながりと幸福: 弱い絆が持つ意外な力