ちょっとしたヒント
- どうしても起きなければならないことを一つ選ぶ。三つではなく一つ。
- 明日の道具を、自分がつまずく場所に置く。
- 朝九時に待ち伏せしてきそうなやりかけを、二つ閉じる。
夜の九時四十分。明日はもう予定でいっぱいで、中身もだいたい分かっていて、そのほとんどはちゃんと片づくはずです。あなたはたいてい片づけてきたのですから。パソコンは閉じたし、今日は悪くない一日でした。そして同時に、あなたは何ひとつ決めないまま寝ようとしています。つまり、明日のほうがあなたの代わりに決めるということです。そして明日は、朝九時にいちばん大きな声を出したものに味方します。
いまの十分が、明日の最初の一時間を買い戻してくれます。しかも割引つきで。決めるのは今夜なら安く、朝九時には高くつく。これは夜のルーティンではないし、睡眠の話でもありません。段取りの話です。小さな三つの動きを、決まった順番で、なんなら立ったまま。それが終わったら、やめて寝てください。
前の晩に、実際は何をすればいいのか
三つです。この順番で、だいたい十分。明日どうしても起きなければならない「ひとつのこと」に名前をつける。その道具を、体が本当につまずく場所に置く。そして、朝いちばんに待ち伏せしてきそうな「やりかけのこと」を二つだけ閉じる。
これで全部です。短いことが、そのまま要点です。長い夜の計画は二つ目の仕事になってしまい、一週間もたずに投げ出されます。十分なら、ひどい一日のあとでも生き残る。大事なテストはそれだけです。
「ひとつのこと」は、わざわざ開かなければならないアプリではなく、紙に書いてください。道具は玄関に、キーボードの上に、運転席に置く。よけて通るのに意志の力がいる場所です。研究者が「マイクロ環境」と呼ぶものについての総説は、ものが置かれている場所は、あなたに考えることを求めないまま、主に自動的な過程を通して行動に働きかけると論じています。玄関に置いたかばんは、その考えの家庭版です。そのあとで、やりかけのことを二つだけ片づけて、やめる。閉じなかったものは、わざと明日の問題にしてあります。しかも書き出してある分、もう小さな問題です。
今夜、明日のことを書いておくと、なぜ効くのか
書かれていない用事は、頭の奥で回りつづけるからです。そして、それを止めるのは、具体的に書き出すという行為そのものです。睡眠研究室で行われた対照試験では、これから数日分のやることリストを五分かけて書いた人たちは、同じ五分をすでに終えたことについて書くのに使った人たちより、早く眠りに入りました。しかもリストが具体的であるほど、早く眠れました。
そこで測られたのは寝つきの早さですが、持ち帰る値打ちがあるのはしくみのほうです。効いたのは書くことで、書くことを効かせたのは具体さでした。「資料をやる」では、考える仕事がまるごと残ります。「六枚目のスライドを仕上げて、十時までにAnaに送る」なら、本当に決まっている。決まったことは、注意を求めるのをやめます。
計画についての研究も同じ方向を指しています。メンタル・コントラスティングと実行意図についてのメタ分析、つまり、起こりそうな障害を正直に見ることと、「もしこうなったら、こうする」と書いた計画とを組み合わせるやり方についてのメタ分析は、人が自分で立てた目標に到達できたかどうかについて、全体として正の効果を見いだしました。共通しているのは、決めるのが前もって済んでいること。しかも、それを払える時間帯に済んでいることです。
急ぎの用が六つあるとき、どうやって「ひとつ」を選ぶのか
残りの五つを安くしてくれるものを選ぶか、金曜までにやっていなかったらいちばん悔しくなるものを選んでください。それから、話題としてではなく、動詞と時刻の入った一文として書きます。
「予算」は話題です。「予算のメールを書く、九時から九時四十分、朝のミーティングの前に」は決定です。二つ目は、朝とぶつかっても生き延びます。一つ目は、すでにメッセージを三通読んでしまった誰かによって、コーヒー片手に交渉し直されます。
ひとつです、三つではなく。名前のついた優先事項が三つあるリストは、優先順位のないリストです。今夜の値打ちは丸ごとここにあります。明日の朝のあなたなら、急かされながら、どのメッセージが先に届いたかで下してしまうような選び方を、いまの落ち着いた判断力で先に済ませてしまう。もし本当に二つ起きなければならないなら、順番を決めて、それぞれに時刻を与えてください。
「やりかけのことを閉じる」とは、どういうことか
やりかけのこととは、まだ終わっていなくて、こちらの準備が整う前に注意を要求してくるもの全部です。誰かが待っている返信。調べると約束した数字。見つからないファイル。それを閉じるとは、二分以内に終わらせてしまうか、明日いつ、どこで片づけるのかを、はっきり書いておくことです。
二つが上限で、その上限こそが仕事をしています。目的は夜十時に受信箱を空にすることではありません。いちばん待ち伏せしてきそうな二つを取りのぞくこと。放っておけば、あなたがいま守ったばかりの一時間を食べてしまう二つです。
実際には、たいてい二行の返信、本当の時刻の入ったカレンダーの予定、あるいは「あれをどこに置いたか」を書いたメモになります。そのあとで人が感じる安堵は、整理整頓の話ではありません。ひとつのやりかけが、もう静かに裏で回りつづけず、翌朝七時にあなたの注意を探しに来なくなった、という話です。
正しい二つを選ぶのは、テストさえ知っていれば簡単です。まだ終わっていないもののうち、朝十時より前に「誰かの緊急」として飛んでくる可能性がいちばん高いのはどれか。それを片づける。次に、探すのに本当に時間を使うことになるのはどれか。それを、必ず見つかる場所に置く。ほかは全部待てます。そう書いておくのも仕事の一部です。わざと開けたままにしたものは、「忘れたこと」に数えられなくなるからです。
帰りが遅すぎて、これができない日は
九十秒版をやってください。紙に一つ書いて、ものを一つ動かす。それだけで効果の大半が取れますし、何時でも、どんな状態でも、計画も机もいりません。
その晩は、やりかけのことは飛ばす。片づけも飛ばす。文を書いて、靴かかばんかフォルダーを玄関に置いて、寝る。避けたい失敗は、これを「ちゃんとやるか、やらないか」の習慣として扱うことです。それは、人が身につけようとするあらゆる習慣を静かに殺してきた、あの「全か無か」の決まりと同じものだからです。
夜の時間が読めないなら、時計ではなく、決まった出来事にくっつけてください。スマホを充電につないだあと。台所でする最後のことのあと。錨がひとつあれば、予定表がもたない週も、これは生き延びます。
そして一晩まるごと抜けても、借りはできません。取り返すために明日二回やる、ということはしません。夜の借金というものは存在しないからです。明日の夜に九十秒版をやって、そのまま続ける。この取り決めがもつのは、そもそも連続記録を求めていないからです。
今夜の十分は、あなたが買ういちばん安い一時間
ここまでのどれも、明日やることを減らす話ではありません。九時にはもう動きだしている状態で着くための話です。最初の決定は済んでいて、道具は行く手にあって、追いかけてくるものは二つ減っている。そうすれば、朝が取り分を持っていったあとの残りではなく、いちばんいい一時間があなたの野心のものになります。
今夜、下手でいいので、六分でやってください。紙に一つ。玄関にもの一つ。やりかけを二つ閉じる。そうしたら明日、九時から十時のあいだに何が起きるかを見て、十分が妥当な値段だったかどうか、自分で決めてください。たいていの人は一週間ほどで問うのをやめ、そのあとはただ、その十分を何年も持ちつづけます。
出典
- PubMed Central, The Effects of Bedtime Writing on Difficulty Falling Asleep: A Polysomnographic Study Comparing To-Do Lists and Completed Activity Lists
- PubMed Central, A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment
- BMC Public Health (via PubMed Central), Altering micro-environments to change population health behaviour: towards an evidence base for choice architecture interventions