ちょっとしたヒント
- 持っていくものは今夜のうちに、ひとつの山にまとめておく。
- 冒頭を一度、声に出して読んだら、ファイルを閉じる。
- 短い夜のほうが、2amの書き直しより安くつく。
夜十時にもなれば、仕事はほぼ終わっています。内容は頭に入っているし、ファイルもできあがり、荷物もだいたい詰めてある。そして明日は、この一週間ずっと狙ってきたその日です。この一時間が、その準備をどれだけ実際に使えるかを決めているのに、そこを計画する人はほとんどいません。
たいていはその代わりに、ゆっくりと流されていきます。資料をもう一回だけ通す。あの収まりの悪いスライドをもう一度見る。11:40pmには名案に思えて、まわりまで書き直すはめになる思いつき。夜中の一時には、仕事はほんの少し変わっただけで、あなたのほうはかなり悪くなっている。どんな日でも割に合わない取引ですが、この日に限っては最悪です。
夜の過ごし方には、もっといい形があります。かかるのは二十分ほど。始まりがはっきりしていて、終わりもはっきりしていて、やめる時刻を前もって決めておく形です。これを「締めくくり」と呼びましょう。
大事な面接やプレゼン、試験の前の夜は何をすればいいですか?
二十分の締めくくりをして、そこでやめること。持っていくものを全部ひとところに出しておき、冒頭を一度声に出して読み、明日の三つの動きをカード一枚に書いて、今夜はファイルを閉じます。
明日がピッチでも、最終面接でも、試験でも、オーディションでも、形は同じです。この順番にはちゃんと理由があります。まず物。いちばん簡単に終わらせられるし、何かひとつ終わると気持ちが落ち着くからです。次に冒頭。今夜さわる価値のある中身は、そこだけだからです。三番目にカード。頭の中でまだ漂っているものを、ずっと抱えていなければならないリストではなく、明日たしかめられる「もの」に変えてくれるからです。
そして四番目、これが本当に効く一手です:やめる。「そのうち落ち着く」でもなく、「ベッドで最後にもう一目だけ」でもなく。ノートパソコンを閉じ、カードをほかの荷物と一緒にかばんに入れて、明日には、眠ったほうのあなたを渡してあげてください。
どうして、ある時点から準備を足しても効かなくなるのですか?
ある時点を過ぎると、知っていることを増やしているのではなく、抱えて管理するものを増やしているからです。大事がかかった状態での遅い時間の作業は、改善よりも変更を生みやすく、変更というのは、本番の速さでまだ一度も口に出したことのない材料のことです。
見落としやすい二つ目の代償もあります。大きな日の前の最後の数時間は、自分の仕事に対する自分の判断が、いちばんあてにならない時間帯です。長く見つめたものは何であれ、だんだん間違って見えてきます。だからいい段落でも、十回目に読めば「これはだめな段落だ」という確信が必ず湧いてきます。その確信に真夜中に従うこと、それが、人が自分のいちばんいい一行を消してしまう道筋です。
戻って手を入れる箇所が、まず弱いところではないことにも気づいてください。すでによく分かっているところなのです。通していて気持ちがいいからです。本当に難しいところは、また一回飛ばされる。リハーサルの目的とは正反対です。難しいところが本当に仕上がっていないなら、今夜の正直な答えは、そこだけを声に出して三回通し、それでもファイルは閉じる、です。
締めくくりは、志を下げることではありません。この一週間の志が、あの部屋との対面を生きて越えるための仕組みです。
一晩よく眠れないと、本当にその日が台無しになりますか?
あなたが恐れているほどではありませんし、崩れ方にも偏りがあります。高い認知パフォーマンスを求められる仕事の人たちを対象にした睡眠制限のレビューでは、いちばんはっきり損なわれるのは持続的な注意と警戒で、一方でよく練習された、体に染みついた技能はしばしば持ちこたえる、と分かりました。ただし、その場で考えて、変わってしまった情報に合わせることを求められる場面は別です。
ここは落ち着いて読んでください。その夜、本当に役に立つ話だからです。明日のうちリハーサル済みの部分、つまりあなたの冒頭、あなたの材料、二十回通したあれは、あなたのいちばん頑丈な部分です。傷むのは、その場で作らなければならない部分のほうです。厳しい質問、思いがけない審査員、その場で計算し直してと言われる数字。つまり、短い夜は乗り切れます。そして短い夜は、あなたが余力として残しておきたかった、まさにその分をもっていきます。
やめるべき本当の理由はここにあります。睡眠が一時間足りないと、しなやかに考える力が少し削られます。2amの書き直しは、その分に加えて、慣れていない材料と、自分が何を言うか分かっている安心感まで奪います。安いほうの問題を選んでください。
それでも眠りが足りなかったときは、朝から「もうこの日は終わった」と自分に言い聞かせて過ごさないでください。その思い込みのほうが、足りなかった一時間よりずっと大きな害になります。
真夜中に頭が止まらないときは?
五分間、とても具体的なやることリストを書いて、そこで置きます。その日を振り返る日記でもなく、心配ごとの一覧でもなく、やるのを忘れてはいけないことを、具体的に書いた本物のリストです。
これは睡眠研究のなかでもきれいな結果のひとつです。一晩の睡眠ポリグラフ検査を使った対照研究で、寝る前に五分間やることリストを書いた人たちは、五分間すでに終えたことについて書いた人たちより、はっきり早く眠りに入りました。そのリストにたくさん書いた人ほど、早く眠れました。終わったことについて書くほうは、逆の方向に傾きました。
仕組みは、見えてしまえば納得できます。終わっていない用事がくり返し合図を送ってくるのは、頭がそれを開いたまま抱えているからです。そして開いたまま抱えるというのは、置き場所を与えなければ、頭が一晩じゅう続けてやる仕事そのものです。紙はその仕事を、くり返し思い出すよりうまくやってくれます。しかも五分で。
だから枕元に置くのは、スマホではなくペンにしてください。12:40amに「あれを忘れずに」がやってきたら、それはリストに入り、リストは朝、机の上にあります。仕掛けはそれだけで、うまくいくのは、それが本当だからです。もう本当に忘れません。
明日のカードには何を書きますか?
三つの動きと、一行。最初の一文、順番にやる三つのこと、そして道を見失ったときに戻ってくるための一文です。
カードは一枚に収めます。この制限こそが効きます。歩きながら三秒で読めるカードは、座らないと読めない一ページより値打ちがあるからです。一枚に収まらないなら、まだ決め切れていないということです。決めるのは今夜の仕事で、明日の朝の仕事ではありません。
できれば手で書いてください。手書きは遅く、その遅さが削ることを強います。そして削っているうちに、六つあると思っていた優先事項が実は三つだったと分かります。書けたら、探さなくても出会う場所にカードを置きます。名札のケース、上着のポケット、楽譜ファイルのいちばん前、スマホのケース。
明日の朝、そのカードは、頭の中の計画にはできないことをしてくれます。落ち着いていた昨夜の自分が何を決めたのかを教えてくれるのです。残り九十秒で廊下に立っている自分が、もう一度考え直さなくてすむように。
やめることも仕事のうち
締めくくりは、手を抜くための許可証ではありません。これは技術であり、大きな日を一度きりではなく、これから何度も迎えるつもりの人のものです。
前の晩を「どれだけ差し出せるかの試験」として扱う志のかたちがあります。それが作るのは、一週間前にはもう準備できていた本番に、からっぽで現れる人です。もうひとつ、前の晩を「まだ自分の手に残っている最後のもの」として扱い、それをちゃんと手に持つかたちがあります。二人とも、同じくらい強く望んでいます。けれど準備をまるごと部屋の中まで持ち込めるのは、片方だけです。
並べる。冒頭を一度読む。カードを書く。そしてノートパソコンを閉じる。数えられるのは明日のほうだからです。
出典
- National Library of Medicine, The Effects of Bedtime Writing on Difficulty Falling Asleep: A Polysomnographic Study Comparing To-Do Lists and Completed Activity Lists
- National Library of Medicine, The effect of sleep restriction on cognitive performance in elite cognitive performers: a systematic review
- National Heart, Lung, and Blood Institute, Sleep Deprivation and Deficiency