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交渉 · 交換できるもの

お金が動かないなら、別のものを交換する

給与は、たくさんある変数のひとつにすぎません。入社日、肩書き、仕事の範囲、支払い条件、機材、休みの日、評価の時期、準備を誰がやるか。どれも交換できるもので、その多くは相手にとって現金よりずっと安く済みます。

印刷された資料が広がるテーブルを囲んで、一緒に作業しているチーム

Photo by Vitaly Gariev on Unsplash

ちょっとしたヒント

  • 交換できるものを五つ、順番をつけてポケットに。
  • 交換はしても、ただ譲らない。差し出したら、必ず受け取る。
  • 入社日と支払い条件が、相手にはいちばん安い。

給与レンジは決まっている、と言われました。会社によっては本当にそうですし、ただの習慣のこともあります。でもここでは、それが完全に本当だと考えてみましょう。今日、給与の行は動きません。

多くの人はそれを聞いた時点で、話は終わったと受け取ります。終わってはいません。形が変わっただけです。お金は、十か十五ある変数のうちのひとつにすぎません。そして残りの変数は、向かいに座る人にとって差し出しやすいことが多いのです。誰か別の人が握っている予算から出ていくお金ではないからです。

入社日。肩書き。仕事の範囲。支払い条件。評価の時期。機材。休みの日。在宅の日数。準備を誰がやるか。入社時の一時金。研修の予算。プロジェクトが途中で止まったときの補償。そのどれもが、本物のお金か、本物の生活です。いくつかは、あなたが争っていた昇給よりも価値があります。そしてその多くは、相手にとって現金より安く済みます。

「レンジは決まっている」と言われたら、何をお願いできますか

六か月後の評価を書面で、仕事に見合った肩書きを、そして二週間まるまる空く入社日を、お願いしてみてください。この三つはどれも、向かいの人にとっては予算の行ではなく、署名ひとつで済みます。そして最初のひとつは、日程まで押さえた二回目の給与の話にほかなりません。

そのあとは、残りのリストを、自分にとって実際にどれだけの値打ちがあるかで下りていきます。研修の予算はお金です。機材もお金です。支払いが六十日ではなく十四日になるのは、すでに稼いだお金が、まだ役に立つうちに届くということです。週に一日の在宅は、年に四十五回ほどしなくて済む通勤です。書面になった仕事の範囲は、いい話を三月までに悪い話へ変えてしまう、あのじわじわした膨らみへの備えです。

Harvard Business Review の転職交渉についての助言も、反対側から同じことを言っています。価値が高いのは、役割と責任と、これがどこへつながるのかの話であって、給与の行だけの話ではない、と。レンジは、三十の文が並ぶ書類のなかの、一文です。

相手にとっていちばん安く、自分にとっていちばん大きい交換はどれですか

いちばんいい交換は、相手には署名ひとつで済み、こちらは受け取るのに何も要らないものです。相手にとっての負担が小さい順に並べると、こうなります。評価の時期、入社日、肩書き、在宅の日数、機材、研修の予算、書面の仕事の範囲、支払い条件、休みの日、そして準備を誰がやるか。

この順番が崩れない理由があります。昇給はずっと続き、年ごとに積み上がり、同じレンジの全員に見えてしまいます。だから、頼めるもののなかでいちばん高いのです。入社日には費用がかかりません。肩書きも、たいていの会社では費用がかからず、それでいて次に仕事を探すとき、あなたにとってとても大きな値打ちになります。六か月後の評価は、いまはカレンダーの予定ひとつ分。お金の話は、こちらに証拠がそろう時点まで先に送られます。

支払い条件は、自分で仕事をしている人のために、別に一言添えておきます。六十日ではなく十四日で支払われても、請求書の合計はまったく変わりません。それでも、一年の過ごし方は驚くほど変わります。

話し合いの前に、五つをどう並べますか

候補を十個書き出して、五つ消して、残ったものを並べます。頼むのに勇気が要るかどうかではなく、これからの十二か月で自分にとってどれだけの値打ちがあるかで並べてください。静かな午後にやりましょう。あの部屋のなかでは、何ひとつ並べ替えられませんから。

それからもう二つ決めて、書き添えます。ひとつしか通らないとしたら、どれを取るか。そして、目に見える譲歩として、どれを最初に気持ちよく手放すか。手放す用意があるものを持っているのは、弱さではありません。にらみ合いをやり取りに変えてくれるのが、それです。

二つが並びそうなときは、一年後にも「よかった」と思えるほうを残します。多くの人は、金曜日に気分がよくなるものを高く置きすぎて、これからの十二か月を静かに形づくるものを低く置きすぎます。たいていそれは、仕事の範囲か、肩書きか、誰の下で働くかです。

リストは紙で持っていってください。見せるためではなく、自分のためです。机の上に目をやれるものがあると、沈黙は保ちやすくなります。並べ替えたリストがあれば、その沈黙は、考え出している時間ではなく、読んでいる時間になります。

値切り合いにせずに交換するには、どうすればいいですか

差し出すものは必ず、受け取るものと同じ一文に、声に出して結びつけます。「給与が本当に動かないのでしたら、六か月後の評価をオファーに書いていただくことと、初日からのシニアの肩書きが必要です。その二つがあれば、今週中に署名できます。」

技術としては、これで全部です。交換はしても、ただ譲らない。差し出したものには、必ず何かが返ってくるように。譲歩についての Program on Negotiation(ハーバード大学ロースクールの交渉学プログラム)の研究は、これが大事な理由をはっきり示しています。自分が何を手放しているかを言わず、代わりに何がほしいかも言わなければ、相手はその譲歩に気づきません。そして返ってくるのは、相手には何の負担もなく、あなたには何の役にも立たないものです。

口調はあたたかく、文は短く。値切っているのではありません。二人とも署名できる形の合意を、組み立てているのです。一緒に進む感じを保つ言い方は「これ、どうすればお互いに『はい』と言えますかね」。壊してしまう言い方は「それでは足りません」のあらゆる言い換えです。

交換は一度にひとつ、順番に。足りたところでやめます。並べたリストを下りていくのは、穏やかなことです。車のなかで思いついたからといって、決着したことをもう一度開けるのは、穏やかではありません。

どの交換も通らなかったら、どうしますか

そのときは、何も得ずに終わったのではなく、値打ちのあることを知ったのです。給与も、肩書きも、時期も、機材も、評価の日取りも動かせない会社は、どこにも余地がないか、余地を探す気があまりないか、そのどちらかを伝えています。どちらであっても、「はい」と言う前に知っておく価値のある事実です。

その時点で、誠実な道が三つあります。ひとつ、目を開けたまま、いまの形のまま受ける。そのうえで、もう一度この話をする日を自分のカレンダーに入れておく。ふたつ、小さなことでいいので、書き残してもらったものをひとつ持って受ける。書かれたものは前例になるからです。みっつ、あたたかくお断りして、扉は開けておく。これは、その場で感じるよりずっと多くの場面で、本当に選べる道です。

どれを選んでも、何を頼み、どう返ってきたかを、その日のうちに、相手の言葉のまま書き留めてください。その一枚が、来年の出発点になります。レンジが都合よく開いたその朝に、話をまた一から始めずに済みます。もう一度頼むことと、記録を持ってもう一度頼むことの違いは、そこにあります。

並べたリストは、前もって用意しておいた落ち着き

交換のところで折れてしまうのは、度胸がないからではありません。誰かが待っているその場で、選択肢をその場から考え出しているからです。追い込まれて考え出したものは、小さくて、言い訳がましいお願いになります。前の日にペンを持って十分過ごせば、そのほとんどがなくなります。

交渉における落ち着きは、そのためにあります。部屋に入ってから呼び出そうとする気分ではなく、何も懸かっていないときに済ませておいた決めごとの束です。だから、テーブルに座っているあなたがやることは、簡単なところだけになります。リストを読む。順番に交換する。そして月曜日にも、一緒に働きたいと思われる人でいる。

今夜、十個書いてください。五つ消してください。残りに番号をつけてください。そうしたら出かけていって、順番に、あたたかく、全部お願いしてみてください。決まっているはずのレンジが、教えられたあの一行以外はどこもかしこも動く、ということがどれだけあるか。

参考資料

読み終える前に、ケアについて一言

KEEP CALM は、無料の教育的なセルフヘルプツールを提供しています。これは医療上の助言、診断、治療ではなく、専門的なケアの代わりになるものではありません。ここで読んだことが、日々のストレス以上のものとして心に響いたなら、専門家に相談することは強く、そして賢明な一歩です。

If you are in crisis or thinking about harming yourself, you are not alone. In the US, call or text 988 (Suicide & Crisis Lifeline, 24/7), text HOME to 741741 (Crisis Text Line), or call 911 in an emergency.